開発者の声

バイオ成型炭
「Bio-M-Coke®」は
地球を救える燃料だと
信じています。

PT ATP BIO INDONESIA 工場長

八幡 一義

Developer Interview

きっかけは、
インドネシアから
戻った社員の一言。

きっかけは、
インドネシアから
戻った社員の一言。

バイオ成型炭「Bio-M-Coke®」の開発は、ヤシ殻炭を加炭材として使っていたインドネシア法人から帰国した社員の、「ヤシ殻炭を固めたらコークスにならないかな?」という相談が始まりでした。この話を聞いたとき、私は、これを実現できたらカーボンニュートラルに貢献できる。現在、海外に頼っている石炭コークスの調達リスクも軽減できる。それなら、業界のトップランナーであるアイシン高丘が取り組まずしてどこがやるんだと思いました。燃料を自ら作ることは会社としても初めてでしたが、アイシン高丘には社員が提案したことを尊重するという風土があり、開発に着手することになったのです。

バイオ燃料とは

バイオ燃料とは、植物由来の生物資源(バイオマス)を活用した燃料のことで、化石燃料の代替エネルギーとして注目されています。化石燃料である石炭コークスを使った鋳物の製造は大量のCO2を排出するため、いくつかの企業や大学がバイオ燃料の開発に取り組んできましたが、これまでに開発されたものは石炭コークスとの併用が必須でした。そんな中、アイシン高丘が開発したバイオ成型炭「Bio-M-Coke®」は、世界で初めて100%置換に成功。既存の鋳鉄溶解炉(キュポラ)をそのまま使用することができ、大きな投資が必要となる電気炉への更新が必要ないという特徴もあります。

多様な人材で課題を克服し
新燃料で世界初を実現。

多様な人材で課題を克服し
新燃料で世界初を実現。

特に開発の中で苦労したのは、従来の石炭コークスと同等の熱量や強度性能を確保することでした。1500℃以上の溶湯を作ることや、10数mの高さがあるキュポラへの投入に耐えうることは、重要な特性だったのです。この課題を解決するために様々な取り組みをしましたが、一番大きかったのは、生産技術部門の私だけでなく、技術開発部門、製造部門といった他部署から、また国籍も年齢も様々な関係者が集まり、意見を出し合えたことだと思います。その中では、若手の斬新なアイデアが大きなヒントになったこともあり、最終的に大きな課題を乗り越えることができました。現在は、経営企画部門、グループ会社・アイシン高丘エンジニアリングのメンバーも参加し、鋳造他社への販売など、一連の事業をプロジェクトとして進めています。

PKSとは

PKS(Palm Kernel Shell)は、アブラヤシの実から食用油として使用されるパーム原油と、石鹸や化粧品として使用されるパーム核油を取り除いた後に残るヤシ殻のこと。ほかの植物と比較して油分が多いことから、効率よく熱量を生み出すことができるという特性を持っています。また、現在、PKSは搾油後の残渣の多くが廃棄されているため、これを使用することは、廃棄物低減にもつながります。

世の中に
貢献できることが
大きなやりがい。

世の中に
貢献できることが
大きなやりがい。

私は今、インドネシアの新会社PT ATP BIO INDONESIAでバイオ成型炭製造工場の立ち上げを行っています。開発者である私が、開発だけでなく、事業化、さらには量産、グローバル展開まで手掛けることは、責任を感じるとともに、大きな手ごたえがあることです。今後は、新工場で製造に携わる現地メンバーにも、世の中に必要とされるものを作っていること、これで地球を救うことができることを伝え、皆でやりがいを感じながら仕事をしていきたいと思っています。また、他社への販売にあたっては、販売先が使用しているキュポラの仕様に合わせてバイオ成型炭「Bio-M-Coke®」をカスタマイズするなど、柔軟に対応していきます。この先もまだまだ開発、改良していく点がありますので、カーボンニュートラルに関心がある人やグローバルに活躍したい人など、幅広い力を結集して成長し、より一層、社会に貢献していきたいです。

「Bio-M-Coke®」に関するお問い合わせ